就職活動をしていると、どうしても「どの会社に入るか」が大きな問題になります。
知名度のある会社、給料のいい会社、安定している会社。親や先生から勧められる会社もあるでしょう。
一生懸命に企業を調べ、面接を受け、ようやく内定をもらう。就職活動をしている本人にとっては、それだけでも大変なことです。
ところが、入社して数年もすると、会社を辞めていく人がいます。
「あんなに入りたがっていた会社なのに、どうして辞めるんだろう」
そんな話を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
就職活動のときには、入社することが大きな目標になります。でも、入社した日から、その会社での生活が始まります。毎日の仕事があり、上司や同僚がいて、思いどおりにならないことも出てきます。
会社選びは大切です。ただ、会社に入ることばかり考えていると、入社した後の自分について考える機会が少なくなってしまいます。
会社に入ることが、ゴールになっていないだろうか
就職活動では、企業の情報をたくさん集めます。
事業内容、給与、休日、福利厚生、勤務地、教育制度。どれも働くうえで大切な情報です。
しかし、条件を比べるだけでは分からないこともあります。
その会社では、どんな人たちと働くのか。仕事で困ったとき、周囲に相談できるのか。若いうちから任せてもらえる仕事はあるのか。どんな働き方をしている先輩がいるのか。
そして、自分はそこで何をしたいのか。
例えば、若いうちから仕事を任されたい人と、時間をかけて専門知識を身につけたい人では、魅力を感じる職場が違うかもしれません。
人と協力して仕事を進めることが好きな人もいれば、一人で集中して取り組む仕事に力を発揮する人もいます。
有名な会社だから、自分に合うとは限りません。反対に、名前を聞いたことがない会社でも、やりたい仕事に出会えることがあります。
会社の評価と、自分にとって働きやすい会社かどうかは、分けて考えてみる必要があります。
入社してみないと分からないこともある
どれだけ企業研究をしても、入社後のすべてを知ることはできません。
面接で会った人と、毎日一緒に働く人が違うこともあります。説明会では分からなかった職場の雰囲気に、戸惑うこともあるでしょう。
仕事を始めてから、自分が想像していたものと違うと気づくこともあります。
そこで大切なのは、違和感を覚えたときに、自分が何に引っかかっているのかを考えることです。
仕事そのものが合わないのか。上司との関係に悩んでいるのか。教えてもらえる環境がないのか。それとも、そもそも自分がやりたいと思っていた仕事ではなかったのか。
原因が違えば、考えるべきことも変わります。
仕事を覚えるまでの苦労なのか、職場の仕組みに問題があるのか。自分の工夫で変えられることなのか、環境を変えなければ難しいことなのか。
ここを整理しないまま、ただ我慢を続けたり、勢いで会社を辞めたりすると、次の職場でも同じ悩みにぶつかることがあります。
自分がどんなときに力を発揮できて、何にストレスを感じるのか。働きながら知っていくことも、社会人としての大切な経験です。
同期と比べて、焦る必要はない
社会人になると、同じ年に入社した同期が身近な比較対象になります。
同期が大きな仕事を任された。自分より早く昇進した。転職して年収が上がった。
そんな話を聞くと、自分だけが遅れているような気持ちになることもあるでしょう。
しかし、仕事で何を身につけているかは、肩書きや年収だけでは分かりません。
早くから成果を出す人もいれば、時間をかけて専門性を磨く人もいます。人との関係を築くのが得意な人もいれば、目立たないところで組織を支えている人もいます。
他人の活躍を見て、自分も頑張ろうと思うことはあります。でも、他人の物差しだけで自分の仕事を評価していると、自分が本当に望んでいることが見えにくくなります。
同期が昇進したから、自分も昇進したいのか。
友人の年収が上がったから、自分も年収を上げたいのか。
それとも、自分には別の目標があるのか。
一度立ち止まって考えてみると、周囲に合わせるためではない、自分なりの目標が見えてくるかもしれません。
20代は、これからの自分を知っていく時期
20代のうちに、将来のキャリアをすべて決めておく必要はありません。
学生時代に考えていたことが、働き始めてから変わることもあります。実際に仕事をして初めて、自分の得意なことや苦手なことに気づく場合もあります。
大切なのは、最初に決めた道を何があっても進み続けることではなく、経験を通じて自分を知り、必要に応じて進む方向を考え直せることです。
そのためにも、仕事以外の世界にも目を向けてほしいと思います。
会社の中だけにいると、そこでの評価や常識が、世の中のすべてのように感じられることがあります。
違う業界で働く人の話を聞く。地域の活動に参加する。仕事とは関係のない趣味に打ち込む。自分とは違う生き方をしている人と話してみる。
そうした経験から、今まで知らなかった仕事や暮らし方に出会うことがあります。
会社で出世することだけが、仕事の目標ではありません。好きな仕事を長く続けたい人もいれば、仕事を通じて社会に貢献したい人もいる。家族との時間を大切にしたい人もいるでしょう。
何を大切にするかは、人によって違います。そして、自分が何を大切にしたいのかは、経験を重ねるなかで変わることもあります。
あなたは、どんな人生を送りたいですか
就職活動や転職活動をしていると、どうしても「どこに入るか」「どんな条件で働くか」という話が中心になります。
もちろん、それも大切です。
ただ、その前に一度、自分に問いかけてみてほしいのです。
どんな仕事をしているときに楽しいのか。どんな人たちと一緒に働きたいのか。仕事を通じて何を得たいのか。そして、仕事以外の時間をどう過ごしたいのか。
答えがすぐに出なくても構いません。
20代の今だからこそ、会社の名前や周囲の評価だけでなく、自分自身の気持ちにも目を向けてみてほしいと思います。



