2017.05.22

就活生が勘違いする面接について、そつなく受け答えできる人が通過するというイメージを抱いている就職活動生が多いようです。就活対策講座でも「このように聞かれたら、こう応えまししょう」的な指導がなされています。面接する方からしたら同じような答え方にうんざりということも。面接官が見ているポイントとは。

面接で問われているのは普段から物事を考える習慣

面接では面接官の質問にいかにそつなく応えると考えている人が多いようですが、実態としては普段からどれだけ深く物事を考えているのかが問われていると言えます。典型的な面接の失敗ケースで考えてみましょう。

面接官:それでは簡単に自分自身の強みとそれを表すエピソードを聞かせてください。
学生:自分の強みはリーダーシップがあることで、周囲の人を巻き込み目標を達成することです。学生時代はスポーツ系のサークルに所属しており、県大会を目標にキャプテンとしてチームを引っ張ることに目指してきました。またゼミにおいても代表として共同論文を執筆するために教授や周囲の協力を得て学内表彰されました。(準備してきた通り!)
面接官:なるほど、ありがとうございます。それでは周囲の人に協力してもらう上で大事なことは何だと思いますか?
学生:(え、これは想定してない質問。)そうですね(汗)、やっぱり密接なメンバーとのコミュニケーションが大事だと思います。サークルでも親しみのあるキャプテンとしてメンバーと話す時間を大事にしていました。
面接官:関わりあう時間の長さが大事だということですか?どんなに時間をとっても信用できないとか、協力したくないなと思っている人もいると思いますがどうでしょうか?
学生:(さらに突っ込まれた質問)そうですね。長く話していても、勿論信用できない人もいます。

深堀されて自ら墓穴を掘る典型 例

何故やどういうことかを何度も深堀されると準備もしておらず答えられなくなった典型的パターンです。自己PRや学生時代頑張ったことですらこんな感じなので、志望動機やキャリアビジョンなどについて聞かれたらさらに困ることになるでしょう。
上記のようなやり取りにおいて、「周囲の人に協力してもらう上で大事なことは何か?」という想定していない質問に対して準備をしておけばよいのか?準備をしておけば、「周囲の人に協力してもらう上で大事なことは何か?」という想定していなかった質問には答えられるかもしれませんが、その答えから生じる次の質問は想定外の質問になります。準備をすればするほど、想定外の質問を面接菅から突っ込まれることになります。
面接官が、「これ以上深堀しても納得させてもらえないな」と思った時か、「非常によく考えているな」と思った時にこの質問は完了します。後者のような評価をされるには、深く考えているなと面接官に納得・共感してもらう必要があります。次に面接感が共感し、評価された面接のケースについて見てみましょう。

面接官:それではあなたの自分自身の強みとそれを表すエピソードをお聞かせください。
学生:私の強みはリーダーシップがあることで、周囲の人を巻き込み目標を達成することです。学生時代はスポーツ系のサークルに所属しており、全国大会出場を目標にキャプテンとしてチームを引っ張ることに目標にしてきました。またゼミにおいても代表として共同論文を執筆するために教授や周囲の協力を得て学内表彰されました。(準備してきた通り!)
面接官:なるほど、ありがとうございます。それでは周囲の人に協力してもらう上で大事なことは何だと思いますか?
学生:うーん、そうですね。自分としては3のことをいつも考えています。一つ目はチームに貢献する意識を持つこと、二つ目は当たり前のことを確実に実行すること、三つ目は個人としての結果を残すことです。
面接官:なぜそのように思うようになったのですか?
学生:少し長くなってしまいますが、中学生時代部活でチームで一番うまかったにも関わらずキャプテンになれなかった経験だと思います。当時は自分さえよければという考えが強く結果さえ残せば何をしてもいいと思っていました。練習に遅刻したり整備や準備もさぼりがちでした。意見も主張するタイプだったので当然キャプテンになるものだと思っていましたが、キャプテンに指名されたのは自分よりも技術的には劣っており、意見もいうタイプではない同級生でした。このことで当時の顧問の先生にかなり強く反発し、一時期ふてくされていました。しかしふてくされても状況が変わるわけでもなく、その間に自分より下手だと思っていた同級生が頭角を出すなど、このままじゃレギュラーも危ういと危機感を持ちました。そこで自分のとってきた態度や行動のくだらなさに気付いたのです。今までの考えを改めて、遅刻せず、グラウンド整備をやり、声を出すようにしたら、同級生からもより信用してもらえるようになったと感じました。高校の部活では先ほどの三つのことを意識して取り組むようになって三年生時にはキャプテンに指名されました。
面接官:なるほど、そこまででよいですよ。(よく考えている学生だな。この学生は上に推薦しておこうかな)

前段の失敗ケースに比べるとかなり深いところまで考えていることが伝わると思います。こういった思考をするには日頃から「メンバーに協力してもらうにはどうすればいいのか」、「リーダーとして率いていくためには自分には何が足りないのか」といったことを考える事が大事であり、時には先輩のアドバイスを受けて考えて、自分からアウトプットしてさらに考えを深める習慣を持つことです。しかし就職活動で本当に重要だと思える「思考を深める」ということに取り組んでいる人は少ないようです。

普段から考えていない人は簡単に見透かされる

ちなみに先日、オリンピック銅メダリストの為末さんがブログにおいて、「自分で考えること」について書いていましたがその内容は面接にも繋がるように思います。
自分で考えるということは当事者感覚とも近いと思う。自分で考えていないと言われる人の特徴はフリーズにあると思う。想定外の何かに出会った時、意外な質問をされた時、意見を求められた時、フリーズする。固まるか、もしくは定型文をしゃべる。考えていない人はいつも出くわしてから考えるし、問われてから考える。普段から自分で自分に問いかけるということをしない。だからある意味で彼らにとっては毎回が初めての出会いと言える。外から働きかけられない限り考えない。
為末さんブログより一部引用

想定外の質問が来たときに固まってしまったり、就活対策講座で世間一般に広まっている綺麗事(コミュニケーションが大事など)を話してしまう人は多いと言えます。普段からちゃんと考えておくと面接官の質問につまる事なく答えることができるようになります。「借り物の言葉」をいくら並べても、更なる想定外の質問に出くわすだけでしょう。

深い思考をするために一番大事なのはアウトプット

深い思考をしようというと、机に向かって考える時間を増やそうとする人が多いのですが、逆です。人、出来れば厳しくアドバイスしてくれる社会人にあって自分の考えを伝えてダメだしを食らった方が数百倍早く身につくでしょう

何となく自己分析した結果、「リーダーシップ」に関わるものを強みにしようと思ったら、自分なりに人を動かすために重要なことや、人と協力して組織が強くなるにはどうすればいいのかをさっと考えて、その考えをOB訪問などで社会人の先輩に話すようにするともっと早く大事なことに焦点をあてて考えられるようになるでしょう。「単に話す時間を長くすれば信頼関係って構築できるの?」とか「密なコミュニケーションってさっきから使ってるけどどういう質のコミュニケーションのことを言ってるの?」とか、厳しく突っ込んでくれる人であればあるほど考えるべき方向性が深まると思います。

最後に

このように面接で見られているのは、普段からどれだけ物事に対して深く考えているかという点です。深く考えており、社会人が納得するレベルのものであれば、その考え方は必ずしも世間一般で重宝されている綺麗事である必要はありません。「誰かの笑顔のために働きたい」という言葉が似合う人は世間で使われている頻度に比べると圧倒的に少ないと言わざるを得ません。

就職活動の時だけ「借り物の言葉で話す」ことが量産されてしまうことは、面接官をうんざりさせるだけです。仕事も就職活動も正解がない中で、ある程度正しいやり方で行動しながら考え続けることが大事です。ぜひ世の中に蔓延する「安易な正解」に飛びつかず、自分なりに考えるクセを社会に出る前に身につけてほしいものです。

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